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広告クリエイターが知っておくべき
”権利カンケイ”のこと vol.2

2018/3/5

前回の記事 では、著作関係の用語と意味をザックリ紹介しました。
さて今回は、実際の現場でトラブルを防ぐためにどうしたらいのかご提案致します。

現場で起こりがちな権利関係トラブル

当然といえば当然なのですが、
モメるのは「作っちゃった後」「納品した後」です。

これを防ぐには、お仕事の受注が決まった時点で、様々なトラブルを予測して、書面(メールなどデジタルデータでもOK。とにかく形に残る状態)でお互いの意思確認をしておくのが一番です。

でも!!!…実際、これが割と難しいですよね?

法務部がある広告会社で働いているクリエイターや、チームで取り組むような大きなお仕事の受注時ならともかく、 私のような小さなデザイン会社の人間や、フリーランスの方にとっては、

①仕事のお話がきた!嬉しい!

②ノリノリでデザインの打合せ

③料金のお見積り
(お金の話になると、なぜか「ちょっと申し訳ない気分」になる時がありますよね)

「さて、著作権についてですが…」

コレは切り出しにくい!そもそも自分も著作権のことをよく知らない!

「まあ、何かあったらその時考えよう」
「ややこしいヤツ、細かいヤツだと思われたらいやだな」
「このクライアンとはいい人そうだから、多分大丈夫」

そんな感じで後回しにしがちです。私も駆け出しの頃はそうでした。

さて、そんな(根拠のない)希望的観測の先には、山盛りのトラブル発生がお約束です。

とっても普通のテンションで、

現場で言われる広告デザインの著作権

…と言われることもあります。ハイ、実際ありました。

そんな状態で、たとえ「著作権法上では…」と説明したとしても、「いやー知らなかった!勉強になったよ!」などと言ってくださる方は少数派で、たいてい気まずい空気が流れます。
場合によってはどちらかが泣き寝入り(=歪んだ関係)となって、以降のお仕事に支障が出ます。

先方に言いづらくても、面倒くさくても、事前に意思統一しておく方が結局は円滑に仕事を進められます。

もちろん、正式な契約書を締結するのがベストですが、時間も手間も、レベルによってはお金も(印紙代・行政書士への依頼など)必要なので、毎回はハードルが高いですよね…。

そんな時は、発注書に権利関係をサラっと記載しておいたり、
別紙A4ペラ1枚にでもまとめて、サッとお渡ししておきましょう。

現場で言われる広告デザインの著作権

なんて言葉を添えて。

このくらいなら、それほど手間もかからず相互の意思確認には役立つはずです。

広告デザインはコミュニケーションの仕事です。
「自分」と「相手」を守るために、まずは、自分から。


では、具体的にどんな項目があればいいのか?
もちろん、個別の案件にもよりますが、代表的なものをリストにしていみました。

事前に決めておきたい権利関係の項目

著作権を【譲渡する】or【譲渡しない】?

よくある文例

文例①:
弊社で作成したデザインは弊社の著作物であり、
著作権・著作者人格権は弊社にあります。

※コレは日本の法律で決まっている大前提なので、意思どうこうの話ではないんですが、意外とご存じない方も多いのでまず始めに書いときましょう。

文例②:
制作したデザインはライセンスフリーですが、
著作権は放棄しておりません。

※作ったデータをお渡しする場合や、素材サイトの規約などに使われる文章です。

文例③:
著作物に関する全ての権利を
無償(有償の場合は価格も表記)で譲渡します。

要注意の文章です。文字通り、「全ての権利」を放棄することになります。あえて、そういう契約にすることもありますが、制作サイドからこの文章を提示することは少ないかも。発注サイドからの契約書や公募などの規約にこんな文章が入っている場合は要確認です。
ちなみに、某アパレルメーカーのオリジナルTシャツデザイン企画で規約にこの項目があり炎上しました。

【補足】著作権の譲渡について
財産的な権利である「著作権(無断で利用されない権利)」は他人に譲渡できます。ただし、デザイン費・謝礼・賞金などで
「お金を払ったから自動的に移る」ということはありません。
著作権譲渡には正式な契約と対価が必要です。

そして、たとえ「著作権」を買ったり譲られたとしても、「著作者」とは名乗れず「著作権者」となります。著作権を買った作品をビジネスに使うのはいいけれど、「自分が作ったと主張する」「無許可で二次利用しまくる」というのは法律違反、ということですね。

広告デザインの場合、「著作物を利用する」のはどんな時かといえば…

・作品をコピーする(複製権)
※コピペ・印刷・手書きで写す、すべて「複製」です。
・作品のデザインの一部を流用する(引用権)
・ホームページにアップロードする(送信可能化権)
・直接のクライアント以外にデザインを譲る(譲渡権)
・作品を展示する(展示権)

一例ですが、こういう場合は著作者の許可を取ってくださいね。ということです。
そして、この「許可」に値段をつけることもできます。
逆にその「許可」の手間がわずらわしかったり、自由に利用してもらってOK!という場合は、対価を得て著作権を譲渡したり、著作権は放棄しないまま『ライセンスフリー(著作者の許可なく自由に利用できますよ、ということ)』 という形にする方法もあります。


著作者人格権を【譲渡する】or【譲渡しない】?

よくある文例

文例①:
著作者人格権(公表権・氏名表示権・同一性保持権)は日本の著作権法上、著作者である弊社の一身専属の権利であり、売買や譲渡は不可能とされています。

※コレも大前提の話ですが、ちょっときつく感じる内容なので、「クリエイターの意思どうこうではなく日本の法律でそう決まっているんですよ~」という表現になっています。

文例②:
著作者人格権を行使しないことに同意します。

※ハイ、要注意文言。これで契約締結してしまうと、「作り手としての人格」が守れなくなります。
前述の某アパレルメーカーや、某ゆるキャラが問題になった争点でもあります。

【補足】著作者人格権の行使について
著作者人格権は、
①公表権 (未発表の作品を好評するかどうか決められる)
②氏名表示権 (公表時に作者名を表示するかどうか決められる)
③同一性保持権 (作者の意図と異なる改変をされない)
…の3つセットです。
「作り手としての、基本的で最低限のプライドを法律で決めたら3つになった」という感じですね。

名誉や人格を守るための権利である「著作者人格権」は、
日本の法律上、どうやっても他人に売ったり譲ったりできません。
ただし!契約時に「著作者人格権を行使しない」と取り決めていた場合、この権利が使えなくなります。
(無理に主張すると契約違反となる可能性があります)

たとえば…
・作品の画像を制作実績として自分のサイトにアップできない
・作者だと名乗れない
・改変されまくって意図しないデザインになってしまう
などというて作り手としてツライ事態になる可能性があります。



必要経費の内訳は?

「権利シリーズ」の記事のくせに、この項目は著作権とは直接関係しないことも含まれますが、よく直面する問題なのでココで紹介。

広告デザインの見積もり・請求内容として代表的なものは、

内訳例

企画費(別名:相談費・設計費・ディレクション費など)
デザイン費(別名:データ制作費など)
修正費
外注費(素材費・モデル料・撮影料・イラスト制作費・コピーライティング費など。自社以外での印刷費や加工費なども外注費に含まれます。)
入稿手数料
製作費(別名:印刷費・加工費など)
配布費(新聞折込費・ポスティング費など)
コーディング費(デザインとは別で設定する場合もあります)
システム構築費(目に見えない機能部分も別で設定する場合があります)
制作管理費
著作権譲渡代
二次使用料金
諸経費(交通費・送料など)

こんな感じですね。もっと細かい場合も、逆にザックリと「デザイン費」で複数の項目をまとめて記載する場合もあります。
書類作成の手間や、クライアントの性格によって使い分けるのが良いかと思います。
でも、どこからどこまで権利を行使し、譲渡し、または有料にするのかは、
お仕事の受注決定前に意思表示して確認を取っておきましょう。

ココまでの3点著作権について /著作者人格権について /経費内訳について)は必須です!
以下の項目も、文章量は多くなりますが、後々重要になるので、できれば記載しておきましょう。

二次利用をどこまで許可するか?
作品の再利用(追い刷りetc)時、費用は発生する?
ボツ案も使いたいと言われたら、費用は発生する?
案件が制作途中で白紙になった場合、費用は発生する?



権利関係でモメてしまうと、制作モチベーションにも影響してしまいます。
プロ意識が低いと言われればそれまでですが、やはりクライアントといい関係で仕事をすることも、いいデザインのために重要な要素です。
このコラムが、少しでもデザインのお役にたてれば幸いです。

広告クリエイターが知っておくべき”権利カンケイ”のこと vol.1

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